埼玉県のルーツをたどる旅　古墳と歴史を巡る（行田市）

日本遺産とは、文化庁が平成27年度に創設した新しい文化制度。

行田市は、約300年前から足袋作りが盛んで、全盛期には全国の足袋生産の80％を占めるまでに。今も日本一の足袋生産地としての歴史を伝えています。

この旅の最後に訪れた忍城が市の郷土博物館になっていて、足袋の歴史についても触れてきました。

行田市は、古墳の町としても知られていて、市のあちらこちらに古墳が点在しています。とても全部は回り切れませんでした。

JR高崎線で上野から1時間。やってきました、行田駅。

駅の東口を降り、まずは観光案内所へ。

回るところの道順を聞いて、レンタサイクルを500円で借りました。
（ちなみに電動アシスト自転車だと1000円になります）

まず最初の目的地、本日メインの「さきたま古墳群」までは、自転車で片道30～40分。

古代蓮で有名な「古代蓮の里」は、まだほとんどつぼみも咲いていないということで、田んぼアートも見られる所だったけれど時間の関係で断念。

さきたま古墳公園と言われています。
菜の花と桜のコラボレーションが美しい場所なので、春が一番良い季節とのこと。本当は春に来る予定が、新型コロナの影響で、6月初めになってしまいました。

見つかっている古墳だけでも8基の前方後円墳と1基の円墳があります。さきたま風土記の丘として公園として整備されています。

運動にいそしむ人、犬のお散歩をしてる人など、地元の人に親しまれている公園のようです。

決められた散策コースだけでも約3㎞・2時間程度かかります。

古墳公園にある前方後円墳の中では最小のもの。
全長53m。6世紀前半に作られたもの。

とにかく最初に見た古墳なので、最小サイズと知っても、その大きさにびっくり。

円筒埴輪の他、人物・太刀などの形象埴輪があります。他の古墳に比べて、円筒埴輪などは高さが40㎝までと小さいのが特徴のようです。

直系105ｍと、円墳では日本最大です。墳丘の高さは埼玉古墳群の中では一番高く、約19mあります。

2枚目は、頂上から見た風景。遠くに、映画「のぼうの城」で知られる忍城が見られますが、小さくて写真だとわかりにくいかもしれません。

古墳に至る道には、1590年石田三成が忍城を水攻めにした時に築いた堤防の跡「石田掘」があります。水攻めの際には、頂上に陣がはられました。

周りの池で、ウシガエルの鳴き声がすごかったです。

埼玉古墳群の前方後円墳の中では最大級のもの。長さ120m。
5世紀後半の古墳。

この古墳からは、金錯銘鉄剣・帯金具・まが玉・鏡などが出土していて、一括して国宝に指定されています。

あとで、博物館で出土品の本物と対面します。

3枚目は、稲荷山古墳頂上から見た丸墓山古墳。綺麗に見えます。

埼玉古墳群の中では、唯一、実物の横穴式石室を建物の中から見学できる古墳。
新型コロナの為、閉まっていました。残念。

代わりに、写真3枚目、博物館の中で見た石室の写真。フラッシュ禁止のため、ボケボケにピンボケしていてすみません。

武蔵国（現在の埼玉県、東京都、神奈川県の一部）で最も大きな前方後円墳。
今も堀が残っています。

長さ138m。5世紀末に造られたと考えられています。

2枚目の写真が、きれいに撮れていると思います。

9時半過ぎに行田駅を出て、気がついたらもう11時40分。そろそろお昼にしようということで、公園の外の道路にあった「さんぽ道」という素敵なレストランに入りました。

二子山古墳が良く見える場所に席を取り、私は古代米カレー（ハスの実入り）880円（税込み）を食べました。＋150円で、ご当地名物ゼリーフライをつけてもらいました。

古代米が、古墳の形をしているんですよ！

ゼリーフライは、中身（おからなど）だけの、揚げ物ではない焼き物。フライなのに、揚げないんだ…？

借りた自転車にも、よく見たら、ご当地名物「フライ」と「ゼリーフライ」のキャラクターが前に貼ってありました。
お腹が許せばフライも挑戦してみたかったです。

ゼリーフライというくらいだから、甘いのかと勘違いする人もいるらしいですが、本当のゼリーが入っているわけではありません。

足袋の町として有名な行田の、昔の女工さんのおやつだったらしいです。

2枚目は、ゼリーフライを食べた時、中身を割ってみたところ。衣がないコロッケのような見た目で、食物繊維が豊富でヘルシー。

埼玉のルーツとも言われる前玉（さきたま）神社。
古墳群の端にある神社は縁結び・夫婦円満の神社としてパワースポットなのだそう。
そして、猫好きにはたまらない癒しの猫スポットでもあります。境内には4匹の猫がいるそうですが、この日は1匹しか見当たりませんでした。

1000年以上の歴史がある延喜式内社で、ご祭神は前玉彦命・前玉姫命ですが、木花咲耶姫命もお祀りしているようです。

高さ8.7m、周囲92mほどの「浅間塚」と呼ばれる古墳上に建てられているのも特徴の一つ。

2枚目の写真がお店を撮ったもの。

店主が気さくな方で、裏口から、ハチの巣が見えると案内してくれました。

店主勧めのあんびん餅が売り切れてしまった（塩味はあったけれど甘い方）ので、1枚目の写真のお菓子を買いました（「さきたま古墳群」というお菓子は白あんと普通のあんの2種類あります）。これで、830円也。美味しいです！

どれも、この地の名物の名がつけられており、おみやげにはぴったり。

前玉神社駐車場入口に立っている槙 (まき)という樹は、樹齢推定600年の御神木。
行田市指定天然記念物になっています。

御岳山信仰の奉納植樹の御神木です。
目通り4mの大木で、雌木です。
現存の槙では、埼玉県内最大だそうです。

樹幹北面（道路側）の中心部に大きな空洞があり、中には木曽御嶽神社の石碑があります。

2枚目の写真が、いつもはうまく回転できるのに、回転できず横を向いてしまい、すみません。槙の木の全体像です。

前玉神社から、道を横にそれて、道なき道を行った先に、鉄砲山古墳が見えてきました。（実は、後でちゃんとした道が作られてることを知りました）

みんな形が似ているのでまとめてご紹介。
1枚目：鉄砲山古墳/砲術訓練所が名前の由来になったのだとか。
2枚目：奥の山古墳/周堀が復元されています。
3枚目：中の山古墳/さきたま古墳群では一番新しい前方後円墳。

先ほど紹介した「前玉神社」が、埼玉県名の発祥の地。「前玉（さきたま）」が転じて「埼玉（さきたま）」へと漢字が変化し、現在の「埼玉県」になったといわれています。

古墳公園内の県立さきたま史跡の博物館近くに建立されている石碑です。

「埼玉」が県の名称とされたのは、当初の県の管理区域の中で最も広いのが、埼玉郡であったことによる、と記されているとか。

写真2.3枚目。瓦塚古墳は明治初期、付近に瓦工が住んでいたとから名づけられました。6世紀前半に築造されたらしいです。

新型コロナの影響で、一部しかまだ開館していませんでした。どこもそうですが、手の消毒と、体温を測られました。

写真OKだったので（フラッシュは厳禁）、発掘された国宝の品々を撮影してきましたので一部紹介します（写真2.3枚目）。主に、稲荷山古墳から出土したもののようです。

鉄剣に刻まれている文字は、「（わたくし）ヲワケの先祖は、代々杖刀人首（親衛隊長）を務めて来た。わたくしはワカタケル大王（雄略天皇）に仕え、天下を治めるのを補助した。そこで辛亥の年（471年）7月に、このすばらしい刀剣にこれまでの輝かしい功績を刻んで記念とする」と記されています。

この銘文は、我が国古代国家の成立を読み解く、貴重な手がかりとなっています（見学のしおりより）。

鉄剣や、その他の国宝級の品々が出た稲荷山古墳の埋葬の図が博物館に展示されていたので、写真に収めてきました。

太刀や鉄剣、鎧に囲まれているのは、いつ闘ってもいいようにですかね？

頭の下には鏡、身体には勾玉などがつけられ、古代の人々の信仰がわかるような気がします。

実際の埋葬物発見の時を、見たかったです。
凄い感動ですよね。

さきたま古墳公園から自転車で8分くらいといわれて行ったのに、かなり迷いながら行ったので、20分はかかったでしょうか。

ここは、工業団地の中にある小さな公園の中で、立派な石舞台古墳でした。飛鳥の石舞台古墳と並んで、関東の石舞台といわれています。

写真の撮り方が下手で、凄さが伝わらないかもしれませんが、大きいです。
径約80ｍ、高さ9.5ｍとされているらしいです。

ここの石室の中に入れるはずだったのですが、コロナの影響か、1人ずつ入り、予約制とされていました。

野村萬斎が主役を務めた映画「のぼうの城」の舞台、忍城です。
豊臣秀吉の命を受けた石田三成が、この城を水攻めにしようとして失敗した、不落の城です。

現在は、行田市郷土博物館として復元されています。館内には、忍城の中の復元模型があり、すごく細かくて、感心します。
櫓に上って、行田市を一望することができます。

閉館時間と同時に出て、行田駅まで自転車を返しに行く途中、滝のような雨に降られて大変でした。隣の熊谷市では、10分間に50㎜という猛烈な雨だったそうです。