今回は岳陽編。岳陽楼、魯粛墓、小喬墓、君山(二妃墓、柳毅井)。
旅のきっかけ | 武漢周辺の高速鉄道が整備され、何と荊州に駅が出来たというので、久しぶりに湖北省の三国志の史跡を巡ってみようと思った。 |
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年/月 (何日間) | 2015年04月(12日間) |
人数 | 1人 ( 1 女性 ) 40代 |
都市 | 武漢(中国) |
キーワード | 三国志ゆかりの地 |
中国の地下鉄の乗車券は非接触型ICカード(Suicaみたいなの)が多いが、武漢はトークン。トークンとはコイン型の乗車券のこと。非接触型トークンなので、入場時は改札機にかざし、退場時は改札機に回収される。改札機に自販機のコイン投入口がついてるのを見た時は馴染みが無かったのでちょっビックリした(笑)。
本日は武漢から岳陽へ一日観光。目的は江南の三大名楼の一つ岳陽楼と魯粛墓。岳陽は武漢から高鉄で1時間前後、在来線だと特急で約2時間。高鉄だと旧岳陽市街から1時間くらい離れた岳陽東駅なので、岳陽楼までの所要時間はどちらを選択しても大して変わらない。特急で立っていくか、高鉄で座っていくかという選択なので、今回は高鉄にした。武漢駅は高速鉄道専用ターミナル。地下鉄4号線の端っこなので江漢路からは40~50分かかる。G1005次8:14発で一路岳陽東駅へ。
約1時間で岳陽東駅に到着。例の如く帰りの切符を買っていたらバスは出てしまい、しばらく待っても全く来ないのでタクシーで岳陽楼へ。相乗りで先に同乗者の家を回ったので少し時間がかかって30分強。タクシーのメーターは35元だけど相乗り分を少し引いてくれて30元。中国の相乗りシステムは料金が運ちゃんの匙加減な感じで笑っちゃう。岳陽楼は木造三層の楼閣で、上からは洞庭湖が臨める。…少し木々が邪魔だけど。入場料80元。
岳陽楼は洞庭湖の北東にあり、赤壁の後、魯粛が水軍を調練した点将台(閲兵台)が始まりと云われる。岳陽楼脇のゲートから背後に出ると、台座部分を含んだ全容が見られる。台座の中央には岳陽門に抜けるアーチ型のトンネルがあるが、岳陽楼の台座部分を洞庭湖側に抜ける為、結構長い。
トンネルを抜けると、そこは岳陽門(トンネルも岳陽門に含まれるのかな?)。岳陽門からは洞庭湖の岸辺に至る長い階段があるが、昔からここは閉まっていて洞庭湖には出られない。この岳陽門の辺りに魯粛の点将台があったそうだ。
亀山の魯粛墓同様、小喬墓も復活していた。86年に熊じーちゃんが小喬墓は去年無くなったよ、と教えてくれた。熊じーちゃんは魯粛墓を案内してくれた有閑老人、姓を熊さんといったので密かに熊じーちゃんと呼んでいた。もう他界されているんだろうなぁ。三国志関係者の墓は1985年前後に撤去されている感じ。蘇州の孫策墓もそうだったし。鄧小平の改革開放で色々なところを整備している時代だった。
ちなみに小喬墓は周瑜の都督府の後苑にあったそうだが、元の位置に復元されているのかは不明。観光地だしね。
岳陽の魯粛墓は岳陽楼の東にある。以前来たときは工場の敷地内にあって見学の交渉にとても時間がかかった。前述の熊じーちゃんがお目付け役として一緒に入ってくれたので見学できたんだよねぇ。記憶に任せて行ってみると、前から来たおやじがすれちがいざまに「工事中だぞ」とかなり笑いながら言った。突然のことで訳が分からなかったが、魯粛墓について納得した。工事中だった(笑)。しかも墓前の牌坊に扉がついていて墓自体が塀で囲まれている。場所は岳陽楼小学校の裏辺り。ちなみにここも衣冠塚。
続いて君山。君山へは岳陽楼前から15路で行けるが20分待っても来ない。日帰りなので移動に時間はかけられない。タクシーを捕まえたら、遠いから行きたくないというそぶり。行けないのかと聞くと70元くらいかかっちゃうよ、という。岳陽東から岳陽楼は35元だった。距離的には君山の方が倍位遠いから、まあ妥当な感じかな。70元出すというと、ものすごいスピードで向かってくれた。段差がある坂道では車が浮くほど(笑)。メーターは倒さないからポケットマネーにする気だな。タクシーは20分強で君山着。
洞庭廟は洞庭湖の龍神、洞庭君(どうていくん)を祭った廟。
君山は古くは洞庭山、湘山と呼ばれ、洞庭湖に浮かぶ小島…だと思っていたのだが、陸続きだった。昔は船でないと行けないと思っていたが。洞庭湖が年々干上がっているので陸続きになったのか?陸からだと大回りになるので、岳陽楼前から船が出ている?でも船は季節限定だった気がする。
入場料60元。
湘妃祠は伝説の皇帝堯の二人の娘で舜の妃だった娥皇(がこう)と女英(じょえい)を祀っている。この地で舜の死を知った娥皇と女英は湘水に身を投げて後を追った。そして湘水(湘江)の神、湘君になった。ちなみに湘水は洞庭湖に流れ込む川で湖南省で一番大きな河川。その南が湘南。ついでに言うと湖北省、湖南省の湖は洞庭湖のこと。
写真3枚目の蚊取り線香が伸びたような線香がなんとなく好き。媽祖廟とか洞庭湖とか海、水の神様の廟はこの線香のような気がする。南方に多いからそういう気がするのかな?
君山はその形から(どのへんが似ているのか分からないが)一匹の龍にたとえられていて、龍口、龍眼、龍舌山等、龍の部位の名前がついている。この井戸は龍舌にあたる部分にあるので「龍涎井」と呼ばれている。この泉水で君山のお茶を淹れると香り高く美味しくなるという。
君山はお茶でも有名で、中でも君山銀針は中国十大銘茶として超有名。唐代には皇帝に献上されていたという。黄茶の代表的な品種で収穫量が少ないので超お高い。ここで売っている君山銀針は本物だ(と販売員が言っていた)。観光地なので更にお高くなっているのかもしれないが、とにかく買わねば。50g、198元…。やっぱり高いが、過去飲んだ君山銀針は偽物だったのか、と思う程全く違うものだった。とにかく力強いの一言。茶葉はほんの少しでももの凄く強い味が出る。ちょっぴり飲んで満足するお茶だった。
唐代伝奇にまつわる井戸。唐代のこと、柳毅が涇川の畔で見すぼらしい姿で羊を飼う哀しそうな女性に声をかけると洞庭君の娘だった。娘は涇川の神の息子に嫁いだが、旦那、舅、姑にいびられて、雨工(羊に似ている神仙界の生物)の世話をさせられていた。実家に戻りたいという娘の遣いで洞庭君に手紙を届ける柳毅。事態を知った叔父の銭塘君(銭塘江の龍神)は怒り狂って涇川に殴り込み娘を連れ戻した。後、柳毅は娘と結婚し、龍と同じ一万年の寿命を得た。…ざっくりいうとこんな話。三枚目の写真は羊ではなく雨工。
岳陽楼の船着き場から君山に快速船が出ている。往復80元だったが窓口で聞いた感じ時刻表は無かった。乗客がまとまったら出す系?
来てみると、君山は湿地帯に浮かぶ島といった感じだった。
帰りは君山の北門前から15路で岳陽楼に戻る。岳陽楼まで5元。所要時間は40分程。
岳陽楼周辺は岳陽楼景区としてかなり整備されている。洞庭湖湖畔にも降りられる。
30年前、中国で一番大きい淡水湖は洞庭湖、二番目は鄱陽湖だったが、現在は逆転して洞庭湖が二番目になってしまったそうだ。形もだいぶ変わってるし。でも鄱陽湖は鄱陽湖でだいぶ縮小しているしねぇ。洞庭湖縮小の原因は長江の土砂の流入だとか。