青海湖へ菜の花畑を見に行ったその後の行程。 蘭州で黄河と劉家峡の炳霊寺石窟へ。
旅のきっかけ | 青海湖湖畔の菜の花畑を見たくて。 |
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年/月 (何日間) | 2017年08月(12日間) |
人数 | 1人 ( 1 女性 ) 50代 |
都市 | 蘭州(中国) |
キーワード | 中国 |
西寧9:30発の高鉄で蘭州西駅へ、所用時間1時間20分。過去、蘭州は列車で何度か通り過ぎたが、降りるのは初めて。ネットで予約した蘭州発銀川行きの切符を受取りに、31路で蘭州駅へ。蘭州西駅から蘭州駅はバスで1時間強。…蘭州市街は道幅も狭く運転が荒い感じでバスも急ブレーキが多い。切符売場も混んでいて、列に並んでから自分の番になるまで45分もかかった。蘭州には昔の中国の面影がまだある感じ(笑)。
蘭州といえば逆巻く黄河のイメージなので、先ずは駅前から137路のバスで中山橋へ。途中、バスは黄河に沿って走り出したので、中山橋の一つ前で降りて黄河の岸辺を歩く。21世紀の黄河は岸辺にビーチパラソルが立ち、モーターボートや羊皮筏子(ヤンピーファーズ)などのアクティビティも充実していた。NHKのシルクロード感は皆無(笑)。何より黄河が逆巻いてない。■写真1、2/黄河に架かる中山橋。向こう岸は白塔山公園。■写真3/黄河を渡るロープウェイはゴンドラが3連。
中山橋の辺りでは観光用の羊皮筏子(ヤンピーファーズ)があった。羊皮筏子は羊の皮を浮き袋にして造った筏。目の前の黄河をちょこっと周回するコース、黄河を少し下って水車公園まで行くコース等あり、一番安いのが周回コースで一人80元、一人で乗る場合は、二人分払う。そんなご無体な…。せっかく来たからには乗りたいが、少々お高いのでどのコースにするか一晩考えよう。…と思っていたら、翌日から雨続きで乗れなかった。残念。
■写真1/黄河沿いにある西遊記像。やっぱり西北では西遊記人気は絶大。西暦629年8月に僧玄奘(三蔵法師)は長安を出奔したらしい。この辺は秋ごろ通過?玄奘の旅は往復6万キロ。■写真2/七里河黄河大橋■写真3/七里河黄河大橋から見た黄河上流。蘭州の黄河の川幅は約500mらしい。…見た目より広い。
ハンプトン バイ ヒルトン七里河大橋(七里河大桥希尔顿欢朋酒店)は蘭州西駅に近い七里河黄河大橋を渡ったところにある。旧蘭州市街から外れている為か、割とリーズナブル。"ハンプトン"はヒルトンホテルのカジュアル路線?AGODAのセールで安くなっていたのでリバービューの部屋で予約してみたが、、、フロントのお姉さんにも云われた通り、景観は大したことなかった(写真2)。新しいホテルなのでバスタブが無いことを除けば設備は充実しているが、シャワーの出はあまり良くなかった。
翌朝8:30雨の中、明日の劉家峡行きのバス路線を探しに一番近い長距離バスターミナル「蘭州汽車西站」へ。售票所で窓口上部の行き先票を眺めていると、券売マダムに声をかけられてしまい、小心者の私は切符を買ってしまう。31年目にして労働意欲のある窓口の人に初めて出会った…。蘭州汽車西站から劉家峡汽車站まで約2時間。■写真2は劉家峡行きのチケットと長距離バスの保険。最近バスターミナルで切符を買うと自動的に保険が付いてくる。合計25元。■写真3は劉家峡バスターミナル
劉家峡ダムは劉家峡汽車站の一つ手前で降りるとすぐだが、バスターミナル確認の為、終点まで行く。劉家峡汽車站からダム(劉家峡埠頭)はタクシーで5分ほど、5元。劉家峡ダムは黄河を堰き止めて作ったダムで炳霊寺はダムを遡った黄河上流にある。
炳霊寺往復+観光の所要時間は、大型快速艇4時間、小型快速艇3時間。誰もが小型快速艇を希望するが、大型も客を乗せないといけないので、大型の運行時間になると小型は出なくなる。観光客一丸となって喧々囂々小型を希望するがガンとして没有。■写真3は大型船内
大型快速艇というからさぞ大きいのかと思ったが、実際は35人乗り。35人の生贄を乗せた大型船は12:40頃出航し、劉家峡ダムを南下する。最初は緑の澄んだ湖面だったが、黄河が流入してくると茶色い水になる。大型船は炳霊寺まで片道1.5時間かかり、後から来る小型快速艇にどんどん抜かされる。小型快速艇の所要時間は片道1時間弱。…なのでくれぐれも大型船には乗らないように…。■写真2は湖水に黄河が流れ込んで水色が真っ二つ■写真3は小型快速艇にあっと云う間に抜かされたところ。悔しい~(笑)
黄河の北岸、炳霊寺付近の景観は炳霊石林といわれる。砂が堆積して出来た砂岩が1憶4千万年前に隆起し、雨水に侵食され、そそり立つ塔のような岩の林が出来たらしい。
ここは渇水期になると船で来られないため、秋から春まで参観できない。そんなわけで春先に旅していた学生時代には来られなかったところ。やっと来られてちょっと感慨深い。雨が降ったせいか、赤銅色の黄河の水って本当に独特だった。じーーーん。
炳霊寺(へいれいじ)は黄河の北岸、石窟群は大寺溝西岸の幅約200m、高さ60mの崖面に分布している。仏像は700余り。一番古いものは西秦末期の建弘元(420)年に開削され、中国最古の石窟といわている。その昔、西に向かう者はここで旅の安全を祈願したそうだ。2017年現在、写真撮影可、フラッシュ不可ということだった。船で一つ書き忘れていたけど、大型船は35人の団体扱いなのか、石窟のガイド(中国語だけど)が付く。小型はピン扱いでガイドは付かない。
炳霊はチベット語の「十万仏」の中国音訳らしい。観光可能な参道には仏龕が多いが、たまにある石窟は扉が閉まっていて非公開が多い。石窟前の川は干上がっていた。石窟保護の為、堰き止めているんだろうなぁ。敦煌莫高窟も目の前の川を堰き止めてあるよね。…龍門石窟は伊河の浚渫工事までして観光船だしてるけど大丈夫なんだろうか。まあ、見た目、莫高窟や炳霊寺の岸壁は脆そうだけど、龍門の岩は強そうなので違うのかもね。
■写真1/第8窟、隋代(581-618)、一仏二弟子二菩薩。■写真2/第70窟、唐代(618-907)、八臂十一面観音■写真3/第13龕、唐代(618-907)、立仏
■写真1/第64龕、唐儀鳳三(678)年、一仏二菩薩二天王。■写真2/第82窟、北周代(557-581)、一結跏趺坐仏二侍立菩薩。結跏趺坐(けっかふざ)は、ざっくり云うと座禅の時の足の組み方。■写真3/第125龕、北魏代(386-534)、釈迦・多宝二仏二菩薩。この第125龕は第168窟と並び、炳霊寺石窟の最高傑作と云われているらしい。龍門にも似た仏が居る。個人的には125龕より写真1の64龕の方が好き。
弥勒大仏は高さ27m、唐代803年に開眼(開削?どっちだ…)。昔は表面が崩れていて(風化した?)ちょっと怖い感じの大仏だったが、近年修復されて綺麗な仏になった。この大仏は地上に降臨した救世主、弥勒さまらしい。釈迦入滅から56億7千万年後の世界ということになるのか?余りにも未来過ぎて待てない。弥勒信仰がブームだった4~5世紀は分裂国家で戦争が絶えない混沌とした時代だったもんねぇ。未来に想いをはせるしかなかったのかもねぇ。
弥勒大仏の左上にある洞窟は第169窟。地上45m。ここは天然の洞窟を利用しており、炳霊寺の石窟はここから始まったらしい。弥勒菩薩の修行場である兜率天(とそつてん)を表わしているそうで、修行中の弥勒菩薩が彫られているとかいないとか。非公開だったので中は見られないが、バーミヤンの大仏に通じる立仏も彫られているらしい。炳霊寺は釈迦が入滅してから弥勒仏が地上に降り立つまでを表現しているそうだ。
弥勒大仏脇の橋を対岸に渡ると、第16窟、釈迦牟尼涅槃像を安置した建物がある。釈迦牟尼涅槃像は北魏代(386-557)のもので、全長8.64m。1967年の炳霊寺改修工事によって、ここに移動させたらしい。炳霊寺石窟の観光は約1時間。じくり見たいタイプには時間が少ない感じだが、船が出てしまうと帰れないので時間厳守…。観光を終えて劉家峡ダムの埠頭に戻ったのは16:51。炳霊寺観光の所要時間は4時間10分だった。
ダム前の大通り(蘭磨線)で手を挙げて、蘭州行き長距離バスの途中乗りを試みるも、2台のバスに満席ゼスチャーでスルーされた。仕方ないので、なかなか来ないタクシーで劉家峡汽車站へ。タクシーは乗客を乗せていたが中国は相乗りが当たり前なので、とにかく手を挙げて交渉。先客の降車地経由なのでちょっと遠回りだけど、次はいつ来るかわからないタクシーを待たずに済むので便利。バスは始発駅から満席だったので、帰りの所要時間は1時間半。■写真1/蘭磨線の劉家峡方面■写真2/蘭磨線の蘭州方面
こんばんは。
炳霊寺、一日がかりでしたが行くだけの価値はあります!!ツアーだったら冬場でも行けるようで、
現地の旅行会社に依頼すれば169窟(別料金)も含んだゆっくり観光(石窟2時間程度)もありみたいです。
西遊記、面白いですよね。西寧、蘭州では孫悟空の着ぐるみで観光サポート(?)している人をよく見かけました。
断片的にしか伝わっていない仏教ですからね。頭のいい玄奘からしたら、自国ではどんな高僧に師事しても無駄だと感じたのかもしれませんね。
それでも片道3万キロも歩いて行くなんて、探究心の凄い人だと思います。実際の玄奘はガタイのいいカッコいいタイプの僧だったと信じてます(笑)。
こんばんは。
黄河の色が、赤銅色!こんな色の川、本当に珍しいですね。
炳霊寺石窟も、とても行ってみたいと思いました。弥勒菩薩って、そういえば釈迦入滅から56億7千万年後に現れるんだっけ、と一生懸命思い出しながら拝見させていただきました。勉強になります。私はこういうところ、好きなので、1時間ではとても足りない!でも船の時間が迫っていれば、急がなくてはなりませんよね。
西遊記は中国で大人気だけど、このあたりでは特に人気なんですね。私も大好きなので、像を見るとつい足を止めてしまいます。そのモデルとなった玄奘がすごく好きです。おきてを破って、仏典を求めて長安を抜けだして、天竺に向かって長い過酷な旅を貫徹した玄奘三蔵のタフさ、意志の強さに感服しています。