【紀勢西線】熊野那智大社初詣と絶品生まぐろ丼

今回の旅は、紀勢西線です。
まずは、紀伊田辺行きに乗車。
海南のコンビナートと有田のみかん畑を抜けて印南に入ると、冬の太平洋は穏やかな顔を見せてくれました。

和歌山駅から2時間弱、2019年に駅舎をリニューアルしたばかりの紀伊田辺駅は、外に出ると弁慶像が出迎えてくれます。
田辺市は弁慶生誕の地と伝えられています。

2016年に世界遺産に追加登録、三山の別宮的存在として熊野信仰の一翼を担っています。
壇ノ浦の戦いで源氏と平氏の双方より熊野水軍の援軍を要請された武蔵坊弁慶の父、熊野別当湛増がどちらに味方をするかの神意を確認するため、本殿の前で紅白7羽の鶏を闘わせたことが社名の由来。

紀伊田辺を出発した車内、商店街の鈴屋さんで買ったデラックスケーキは、発売から半世紀が経つ地元の人に愛されてきた銘菓です。
甘々のお菓子は、コーヒーと一緒に少しずつ食べたい気分。

出発してから5時間を超えて、普通列車で黙々と進むのが修行の様になってきました。
ずっと座っていると身体が鈍ってくるので、串本駅では停車時間を利用して外の空気を吸います。

雄大な景色に惚れ惚れしながら、海と付かず離れずで先へ進む。
細長い入り江の玉ノ浦は、穏やかな浅瀬が足元まで迫る絶景モノ。
真冬なのに泳ぎたい誘惑に駆られました。

早朝に出発して現在の時刻は13時、ひと口に和歌山と言っても大阪に近い和歌山市とは全然違う。
熊野那智大社を模した那智駅は、隣接する交流センターに特産品販売所と公衆浴場があります。

小さな地下道を潜って駅の裏手に出ると、丹敷浦の美しい砂浜が続いていました。
真冬なのにポカポカ陽気で波に触れると思ったよりもあたたかい。
時間を忘れて潮風にあたります。

つづら折りの山道に差し掛かる手前で路線バスを下車、準備体操を終えたら坂を上り始めます。
大門坂は入口から熊野那智大社まで約600m続く石段で、一歩一歩大切に踏みしめながら歩く。

門柱の如く聳える二本の夫婦杉を過ぎると、辺りは少し薄暗く空気が変わったような気がしました。
樹齢の高い杉木立から差し込む柔らかな陽の光が石畳に落ち、神秘的な雰囲気に包まれます。

遅めの昼ごはんは、熊野そばとめはり寿司をいただきました。
具沢山のそばには、トロッと優しい甘さの自家製胡麻豆腐。
窓からの景色が良く、しばらく外を眺めて休憩していました。

お隣の青岸渡寺と合わせた那智山は、かつて那智滝を中心とした神仏習合の一大修験道場でした。
熊野の神様のお使いである八咫烏は3本足のカラスで、より良い方向へ導くお導きの神様です。

でっかいおみくじがあったので、新年一発目の運試しといきますが吉という微妙な結果に。
旅行は「心を引きしめて行くべし障りなし」と言うことで、1年間は緊張感を持って旅をしました。

西国三十三所第一番札所、天台宗の寺院で本尊は如意輪観音菩薩。
古くから多くの参詣者が訪れる。
創建は4世紀で、1590年に秀吉によって再建された本堂は紀南で一番古い重要文化財です。

那智滝と三重塔は定番の組合せで、整った美しさがあります。
受付で拝観料を納めたらエレベーターで上層へ、二層目は同じ目線の高さの那智滝を、三層目は熊野灘を望む景色が楽しめます。

那智大社別宮の飛瀧神社は社殿がなく御神体の滝を直接拝みます。
深呼吸をすると疲れた体も生き返った気分で、水音に負けじと叫ぶ子どもの気持ちも分かる。
那智黒ソフトは黒飴を舐めているようで甘くて美味しかった。

生まぐろの色々な部位を楽しめる特製丼を注文、着丼すると艶やかな姿に思わず言葉が漏れる。
肉厚なメバチマグロは口の中が旨味いっぱいで、願わくばいつまでもこの余韻に浸っていたかった。

日本有数のマグロ延縄の漁業基地で生鮮マグロの水揚量は日本一。
港に響く漁船のエンジンを聴きつつ足湯で歩き疲れた足を温める。
帰りたくないと呟いた後、再び鈍行で6時間かけて帰阪しました。