【六善光寺御開帳を巡る旅】愛知・岐阜・山梨・長野、7年に一度の御開帳を網羅する旅。

最初は愛知県稲沢市にある善光寺東海別院(祖父江善光寺)から、六善光寺の旅はスタートします。
こちらは織田信長によって、長野善光寺に遷座される阿弥陀如来像を一時安置した後、そこに２つの頭を持つ蓮の花が咲いた事を由縁として、阿弥陀如来像を分祀した事から開創された寺院です。

一時信濃国(長野)から武田信玄によって甲斐国(山梨)に武田信玄によって遷座されていた阿弥陀如来像が、織田信長の討伐によって岐阜に移されて建立されたのが当寺院。
その後徳川家康や豊臣秀吉ら戦国武将によって様々な地を転々としますが、祟りなどの噂によって本尊は長野善光寺に戻される事になりました。

続いては岐阜県関市にある宗休寺へ。こちらは別名関善光寺となります。
こちらに安置されているのは東京・上野寛永寺にあった善光寺如来像。江戸時代の寛政年間に信州善光寺の出開帳がこの宗休寺で行われ、その縁で善光寺風の本堂と戒壇が建立され、そこに寛永寺から御本尊が遷座されました。

関善光寺にしかないとされているのが、卍型の通路の戒壇巡り。
御本尊と直接繋がれる戒壇巡りは、全国各地の善光寺で見られますが、関善光寺さんは通路がかなり屈曲していて、その道順は卍の道筋になるといわれています。お立ち寄りの際はぜひ体験してみてください。

六善光寺の旅、2日目のスタートは長野県飯田市の元善光寺からスタートです。
現在長野善光寺にある御本尊の一光三尊阿弥陀如来像は大阪で発見され、本多善光によって飯田市の元善光寺付近にあった本多氏の自宅に運ばれた。そして自宅に安置すると、仏像を安置した臼から光が放たれ、これは何事かとなり結果当時の皇極天皇から現在の長野市への遷座を命ぜられたといういわれがあります。

その本多善光氏の自宅があったとされるのが、元善光寺が建立される当地。現在の地名の元となる座光寺もここから来ています。

天文年間の川中島の戦いによって戦火の危機にあった長野善光寺にあったご本尊を、武田家の支配地域の甲府に遷座して建立されたのが甲斐善光寺。
その後本尊像は織田信長によって尾張国に持ち出され、中部地方を転々とする事になります。

長野善光寺と両参りとされているのが、上田市の別所温泉にあります北向観音堂です。名前の由来の通り伽藍が珍しい北の方角向きに建立されており、長野市の善光寺と対をなして、善光寺が来世の利益、北向観音が現世の利益につながるとされ、両参りを勧められています。

別所温泉から長野市へ移動。５つの善光寺と北向観音のお参りを終えた後、遂に善光寺に到着です。御開帳最終日にお朝事の参拝を控えていますが、その前に夜の境内を散策。御開帳期間中のみ山門の仁王像や本堂の大伽藍がライトアップされています。闇夜に筋骨隆々と浮かび上がる仁王様は圧巻。貴重な機会に巡り会えました。

2022.6.29の善光寺御開帳最終日。
前夜は宿坊に泊まり、早朝3時起きにて伽藍の前にツアー参加者一同で並びます。
目的は御開帳最終日の「お朝事」と呼ばれる朝の勤行に参加すること。
貫主様といわれる善光寺大勧進の住職のお経の後に、厨子の扉が開き前立本尊の姿が見えると、一気に空気が変わりシャキッとした雰囲気になります。貴重な時間でした。

昨今の新型コロナウイルス感染拡大に伴う、参拝の分散化を図るために1ヶ月御開帳期間が延長され、6月まで善光寺御開帳が続く事は二度とないでしょう。と案内の方もおっしゃっていました。
この機会にタイミング良く出会えた事に感謝をして、帰途に着きました。